ウイルス感染が引き起こす肝機能低下
肝炎ウイルスに感染すると、ウイルス性肝炎になり、肝機能が低下します。肝炎ウイルスには色々な型があり、感染ルートや症状が異なります。対策法と併せてみていきましょう。
ウイルス性肝炎は、肝炎ウイルスに感染して、肝臓に炎症がおきて細胞が壊死する病気です。ウイルスにはA型、B型、C型、D型、E型などの5つの型があります。それぞれ潜伏期間や症状が異なり、原因となるウイルスによって、「A型肝炎」「B型肝炎」と分類されます。現在、日本人のウイルス性感染者は推定210万人~280万人。うちもっとも多いのがB型肝炎・C型肝炎です。肝硬変や肝臓がんに移行する恐れもありますが、早期発見・治療でコントロールができる病気です。
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A型肝炎ウイルス
水や食物を通して感染するウイルスです。近年、衛生状態が改善されて、A型肝炎にかかる人は少なくなり、それと共に抗体を持つ人も減少。発展途上国など、衛生状態の悪い国で感染するケースの報告もありますが、ワクチン接種で予防が可能です。
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B型肝炎ウイルス
血液・体液を介して感染するウイルスで、かつては母子感染が中心でしたが、ワクチン接種により、現在では新たな感染がほとんどありません。感染しても自然治癒する人が大多数を占めますが、欧米型に感染すると慢性化する傾向があります。
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C型肝炎ウイルス
血液を介して感染するウイルスで、かつては輸血が感染ルートでした。現在では、十分な対策が取られるようになり、輸血による感染は激減しました。覚せい剤等の注射の回し打ち、不衛生なピアス、タトゥーの針の使い回しでも感染します。
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D型肝炎ウイルス
血液を介して感染するウイルスです。D型肝炎ウイルスだけで感染することはなく、B型肝炎ウイルス感染者のみに感染します。B型肝炎と重複感染することで、肝炎の症状が重くなります。
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E型肝炎ウイルス
水や食べ物を介して感染するウイルスです。加熱不十分な肉や、シカ・イノシシ・ブタのレバーを食べて感染した報告も。妊娠中に感染すると、重篤化するケースがあり注意が必要です。
日本で特に感染者が多いのがB型、C型肝炎です。それぞれどのような病気なのかを解説します。
B型肝炎
B型肝炎は、水や食物、血液を介して感染する肝炎で、一過性と持続性とがあります。一過性は、感染しても自覚症状がないまま自然治癒するケースがほとんど。一方の持続性は、出生時・乳幼児期などの母子感染に多くみられます。免疫機構が未熟なため発症はしませんが、免疫がついてくる年齢(およそ10代から30代)になると、ウイルスを異物として認識するようになり発症します。症状は発熱・食欲不振・倦怠感等。比較的軽症ですが、20~30%の人が慢性肝炎に進行して肝硬変や肝臓がんになる場合も。C型肝炎
現在、日本人の感染者は100万人から150万人あり、その多くが60歳以上の高齢者だといいます。感染者の70%が持続性肝炎といわれますが、自覚症状がなく、健康診断を受けてC型肝炎と診断されることが少なくありません。急性になると、発熱・全身の倦怠感・食欲不振・関節痛等の症状が現れます。発症すると70~80%の割合で慢性化になり、30~40%の人が20年~30年かけて肝炎に進行し、うち7%の人が肝臓がんに移行。肝臓がんの原因の70%がC型肝炎といわれています。周りへの感染を防ぐ方法
肝炎ウイルスは、常識的なことを守れば感染を避けられます。特に次のことに注意しましょう。参考- 肝炎ウイルス検査 ウイルス性肝炎の基礎知識