Rational symptom

肝機能障害の自覚症状

肝機能が低下した時の症状と注意

肝臓は沈黙の臓器といわれ、肝機能が低下しても症状がわかりにくいといわれます。比較的、初期にみられる症状を知っていれば、早めに異変に気がついて早期治療につながります。肝機能障害の症状をみていきましょう。

自覚症状が出にくいので要注意

肝臓には、痛みを感じる神経が通っていないので、肝臓の機能が低下しても痛みを感じません。気づかないまま過ごしていると進行していき、発見された時には、かなり状態が悪くなっています。肝機能障害が進行すると、倦怠感や食欲不振、むくみ、発熱、体重減少等がみらますが、軽度の場合は症状がほとんどありません。ですが、初期段階であっても、血液に含まれている酵素の数値を見るとわかります。早期発見するためにも定期検診が重要です。

 

肝機能障害の自覚症状

自覚症状が出にくいのですが、その中でも以下の症状には注意すべきです

Attention

倦怠感

初期症状はねむけやだるさ

初期の段階で見られる症状です。肝臓にはアルコールやアンモニアを解毒する働きがあります。肝機能が低下すると、解毒作用が正常に機能しなくなります。毒素が体内に残ると、眠気やだるさなどを、感じるようになります。また胆汁の分泌も悪くなると、脂肪やビタミンA・K・E・Dの吸収が阻害されます。さらに、血糖値の調整がうまくできなくなります。これらのことから、だるさや倦怠感等の症状が現れます。

発熱

発熱は急性期の肝機能障害

発熱は、急性期の肝機能障害に見られる症状の一つです。その理由としてあげられるのが、肝機能の低下による免疫力の低下です。免疫力が低下すると白血球が減少してウィルスが増殖しやすくなります。ウィルス感染のリスクが高くなるので、身体の免疫機構が働いて、熱を出してウィルスを追い出し、体を守ろうとします。また、肝臓が炎症を起こしたことで、発熱するとも考えられています。

食欲不振

胆汁の分泌低下による食欲不振

肝機能が正常に機能しなくなると、摂取した栄養分をエネルギーとして、消化しにくくなり、食欲が減退すると、考えられます。肝臓には胆汁を分泌する働きがあります。胆汁は肝臓から送られてきた脂質の消化吸収を助けて、老廃物の排出を促す働きがあります。肝機能が低下すると、肝臓で作る胆汁の量が減少します。胆汁がないと、食物の脂肪の消化分解が上手くできなくなるため、食欲不振に陥ります。

むくみ

下肢中心のむくみは気をつけて

肝機能が低下すると代謝機能が悪くなり、手や下肢を中心に、全身がむくみやすくなります。血液の中には、肝臓で分泌した「アルブミン」というタンパク質があります。この物質は、血液中の水分を一定に保つ働きがありますが、肝機能が低下すると、アルブミンの分泌量が減少します。それにより、血液の浸透圧が低くなり、血管から水分が出ていきます。そのため、全身がむくむようになります。

尿の色が
濃くなる

尿の色が茶色くなったら要注意

肝臓にはアンモニアを分解して、体外に排出させる働きがあります。肝機能が低下すると、尿がろ過されなくなって、茶色っぽい濃い色になると考えられます。もう一つの理由として尿のビリルビン値が高くなっていることがあります。通常は肝臓から胆管を通って腸に送られますが、肝機能が低下していると肝臓に送られなくなります。血中濃度が高くなり、それが尿とともに排せつされて色が濃くなります。

腹水

腹水が溜まったら重度のサイン

腹水とは、臓器と臓器の間にある腹腔に、血管やリンパ液から流れでた、体液が溜まる症状で、比較的、重度の肝機能障害に見られます。血液は、肝臓で作られたアルブミンの働きで、浸透圧が一定に保たれています。肝機能が低下することで、アルブミンの量が減り、血管から水分が流れ出て腹水がたまります。また肝臓に血液を送る門脈の流れが悪くなることも、原因の一つです。

かゆみや湿疹

末梢神経の刺激によるかゆみ・湿疹

肝臓には、ヘモグロビンの一部を代謝してできるビルビリンを、胆管に送る働きがありますが、肝機能が低下すると胆汁の中にビルビリンを送ることができなくなり、血中濃度が高くなります。また血液中の胆汁酸濃度も高くなりこれらが末梢神経を刺激して、かゆみや湿疹が生じるといわれます。かゆみや湿疹は、主に薬の服用等が原因で肝機能障害を起こしている場合にみられる症状です。

黄疸

黄疸が現れたら重度のサイン

黄疸は、重度の肝機能障害に見られるケースが多く、看護が必要な状態に陥っているといわれます。肝臓に急性の炎症が起きると、赤血球の中にあるビルビリンの排せつが上手くいかなくなり、血液中に大量に流れでます。ビルビリンは、赤血球を破壊した時にできる、黄色い色素です。これが血液中に大量に放出されると、全身の皮膚や粘膜に異常に沈着して、黄疸が現れます。

 

肝臓の役割

肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、異常があってもなかなか自覚症状が現れない臓器の一つです。肝臓は再生能力が高く、さまざまな代謝機能を担っています。

よく知られている肝臓の働きの一つが、ブドウ糖をグリコーゲンという物質に変化させ、必要になったらエネルギーとして使えるよう、体内に送り出してくれる働きです。

その他にも、アミノ酸を作るのに必要なアルブミンと呼ばれる物質に作り替えてくれ、赤血球の生産に必要となる葉酸やビタミンB12などを蓄え、必要になったら送り出すこともしています。

毒素を中和する機能も肝臓の大きな働きの一つです。
例えばアルコールやタバコの毒素を肝臓は中和し、尿などに送り込み、毒素を体外から排出させます。筋肉を動かして作り出される乳酸もグリコーゲンに変えることで、乳酸による疲労感を軽減させてくれます。

「疲れやすい」「お酒に酔いやすくなった…」そんな症状を感じたら、もしかしたら肝臓の働きが弱っているからかもしれません。

もう一つ、肝臓の大切な働きとしてあげられるのが免疫機能です。肝臓にあるマクロファージと呼ばれる細胞は、外から体内に入ってきた細菌やウイルスを食べてくれます。

免疫機能のコントロールを行うT細胞という細胞は、人間の身体に欠かせない免疫機能をつかさどる細胞です。

スポーツの肝臓への影響

人間の体は運動時に糖質を代謝・分解し、筋肉でエネルギーを作り出します。この糖質の代謝・分解により作られるのが、乳酸と呼ばれる成分です。

スポーツをする上で乳酸量がどの程度血中で増えたかをチェックすれば、その人の体にとって運動がどの程度の強度なのかを把握することができます。

乳酸は疲労物質としても知られています。しかし最近の研究によれば、疲労は乳酸によるものというよりも、乳酸を作り出す際に体内で発生する物質により、筋肉が酸性に傾き、疲労を生みすのではないかと考えられています。

肝臓はスポーツをした際に作り出された乳酸を、再び糖(グリコーゲン)に合成して、エネルギー源に使えるように整えてくれる役割を果たしています。

よく、「スポーツ選手はお酒を飲まないほうがいい」と言われるのは、運動によって生じる乳酸をエネルギー源に変える、肝臓の働きがスポーツ時の疲労度合いや、パフォーマンスに影響すると考えられるためです。
肝臓を健康に保つことで、スポーツ時にもスムーズに、肝臓が乳酸を新たなエネルギー源として作り変えてくれるのです。

参考-厚生労働省 e-ヘルスネット『乳酸』2017年12月28日確認

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-045.html

肝機能障害が起こる前にするべき対処や摂取すべき栄養

少し切り取られたとしても、元の大きさに再生してしまうほど高い再生力を持つ肝臓。しかし飲酒や喫煙などの生活習慣により、肝臓は知らず知らずのうちにオーバーワークに陥っている場合があります。

肝機能障害の原因は、大きく分けて肝炎ウイルスなどによる感染によるものと、肝毒性物質(肝臓を痛めつける物質)に慢性的に肝臓が晒され続けるという原因に大別されます。

後者の肝毒性物質による肝機能障害は、生活習慣などでも十分に予防し得る障害です。

慢性肝臓疾患の発生要因は,肝炎ウイルスなどの感染性要因と肝毒性物質の慢性暴露に大別される.前者に対する対策は,国レベルで系統的に行われており,近い将来ほぼ確立されるといっても過言ではない.後者の要因の中で大きな比重を占めるアルコール摂取の状況は,楽観できるものではない3).アルコールの持続的大量摂取者の増加は,神経・精神系の障害とともに,肝臓の急性・慢性障害を伴う病人の増加が危惧されるからである

参考-『軽度肝機能異常者の生活習慣の特徴』公衆衛生,56(12),pp.870-874,1992

http://medicalfinder.jp/doi/abs/10.11477/mf.1401900707

例えば、肝機能障害を予防するためには「飲酒量を控える」「禁煙をする」「肥満の解消」「バランスの良い食生活」などが挙げられます。

特に食事においては、中性脂肪が健康診断で高い人は、肝臓にも脂肪が蓄積している可能性があります。脂肪肝になれば肝機能は低下。肝硬変となる可能性もあります。高カロリーな食生活はできるだけ避けましょう。

肝細胞の修復には肝細胞を構成するたんぱく質が必要です。食生活においてもできるだけたんぱく質を摂るようにして、肝臓の修復をサポートしてあげましょう。

こんな人は要注意!

肥満体型の方

肥満は肝臓への脂肪蓄積を促進させ、脂肪肝を引き起こす大きなリスク要因となります。

肥満につながる暴飲暴食をすれば、当然肝臓への負担は増大します。肥満を解消し、肝臓の働きが適正に保てるよう高たんぱく・低カロリーな食生活を心がけましょう。

脂肪毒性,糖毒性,膵β細胞機能不全を背景因子とする肥満・2型糖尿病ではインスリンの遅延分泌・遷延性過剰分泌が消化管からの脂質吸収や肝臓における脂質合成を促進して脂質異常症を悪化させ,腎臓からのナトリウム再吸収を高めて昇圧をもたらすなど,組織特異的・作用特異的なインスリン抵抗性とインスリン作用過剰がまだらに混在する複雑な病態を形成している

参考-『肥満症の内分泌的解析』日本内科学会雑誌,100(9),pp.2638-2645,2011

https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/100/9/100_2638/_pdf/-char/ja

睡眠不足の方

体のためにたくさん働いてくれる肝臓も、休息を取り、栄養補給をする時間が必要です。食後や疲れが抜けない時は、肝臓のある体の右側を下にして横向きに寝転び、肝臓に血液をたくさん送ってあげましょう。

睡眠時間が短いと、肝臓が栄養補給をする時間もなくなり、肝細胞の修復機能も低下してしまいます。

お酒を飲むのが好きな方

肝臓にストレスをかけるのがお酒です。肝臓はアルコールを分解し、毒素を尿と共に排出してくれる働きを持っています。飲酒量が多くなれば、当然肝臓はフル回転。

肝臓のアルコール分解機能がキャパオーバーになってしまえば、当然肝機能は低下してしまいます。
肝臓をいたわるためには、「休肝日をもうける」「1回の飲酒量は日本酒1合程度」を心がけるといいでしょう。