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Mechanism

肝臓の仕組みについて解説

肝臓の仕組みと肝機能の低下の原因

肝臓は沈黙の臓器といわれ、異常があっても気づきにくく、肝機能の低下が静かに進行していきます。肝機能が低下する原因がわかれば、未然に防ぐことも可能です。ここでは肝機能が低下する原因についてまとめています。

肝臓はどんな臓器なのか

肝臓は人体の中でもっとも大きな臓器です。体重にもよりますが、意外と重くて約1.2kgもあるといわれます。肝臓の位置はみぞおちの右側(右腹部のやや上部)にあり、横隔膜にぶら下がっていて、肋骨に隠れています。なぜ重たい肝臓が横隔膜にぶら下がっているか不思議ですが、これは腸に刺激を与えるため。呼吸した時に横隔膜と一緒に上下することで、腸の刺激が伝わって内臓の血液循環がよくなります。

肝臓の働きには主に「代謝」「解毒」「貯蔵」「胆汁分泌」の4つがあります。それぞれが正常に機能することで、全身の健康が保たれています。4つの機能の仕組みや働きについて解説しています。

Motility

肝臓の主な働きについて

代謝

食べ物の一部を体外に排出し、残りは脂肪などに変えて蓄積

代謝とは、食物から摂取したエネルギーを消費する活動です。糖質代謝・たんぱく質代謝・脂質代謝の3つの代謝があり、エネルギーをつくり出したり、脂肪として蓄積したり、全身にエネルギーを供給する働きがあります。代謝が悪くなると肝機能の低下につながります。

解毒

私たちの体を健康に保つために必要不可欠な作用

アルコールや薬は、ある意味では身体にとって有害物質です。そのまま吸収すると、悪酔いや中毒症状を引き起こします。また腸内で発生するアンモニアも有害物質で、脳障害などの原因に。これらを分解して無毒化する働きが解毒です。肝臓で解毒した後、体外へ排出されます。

貯蔵

脂肪分や糖分などに分解・合成し、不足した時にエネルギーとして消費

肝臓には、栄養素や血液を貯蔵して、エネルギー不足や血液不足に陥った時に、それらを使って供給する役割があります。貯蔵される栄養素は、三大栄養素と呼ばれる、糖・脂質・たんぱく質。これらを過剰摂取すると、中性脂肪が増えて、太り過ぎや肥満の原因に。

胆汁分泌

分泌されると毛細胆管を通って胆のうに送られる

胆汁は肝臓から分泌される、弱アルカリ性の黄色い分泌液です。分泌量は1日に1ℓほど。胆汁酸やコレステロール、ビリルビンが含まれていて、脂肪の消化吸収と、排便に関わっています。胆汁が胆管や胆のうで何らかの理由で固まってしまったものが胆石です。

 

肝臓の働きの中でも特に注目に値するのが、優れた再生能力です。他の臓器は炎症を起こしたり、細胞が壊死すると、再生することはありません。ところが肝臓だけは違います。ダメージを受けたり肝細胞が壊死しても、残っている肝細胞が傷口を修復したり回復して肝機能を正常に戻します。この再生能力に着目したのが生体肝移植です。ドナーから肝臓の一部を切除して患者に移植すると、健康な肝細胞が再生を促します。再生の鍵を握るのが肝細胞です。肝臓には通常の2~3倍のDNA(染色体)を持つ肝細胞が多く集まっているので、再生能力が高いと考えられています。

ReasonWhy

肝臓が沈黙の臓器
と呼ばれている理由

肝臓は五臓六腑の中でももっとも体積があり、様々な役割を担っている臓器です。とても優秀な機能を備えていますが、感覚神経が通っていないので、痛みが感じにくく、肝臓にトラブルがおきても表立った症状がほとんどみられません。体調を観察していると、風邪に似た症状や、お酒が飲めなくなってくると、肝機能が低下している可能性があります。これらの症状を風邪や単なる疲れだと判断してそのままにしていると、気づいた時には、肝硬変や肝機能障害などになりかねません。このように、静かに進行することから、肝臓が沈黙の臓器と呼ばれています。