HOME » 肝臓の仕組みについて解説 » 肝臓の働き

肝臓の仕組み
を解説

Motility

肝臓の働き

肝臓の仕組みと4つの働き

肝臓は沢山の役割を担った臓器です。主な働きとして「代謝」「解毒」「貯蔵」「胆汁分泌」があります。ここではそれぞれの働きについて、説明しています。

肝臓の主な働きは、「代謝」「解毒」「貯蔵」「胆汁分泌」の4つあり、それぞれに重要な役割を担っています。一つひとつの働きと役割についてみていきましょう。

1

代謝

栄養をエネルギーに変換する

代謝とは、摂取したエネルギーを消費する働きをさします。食物から摂取した栄養分を代謝してエネルギーに加工して全身に送り、余った分を肝臓に貯蔵して、いざという時には、それを分解してエネルギーに変換します。
肝臓の代謝機能は重要な役割があり、主に次の3つの働きがあります。
1.ご飯や麺類、パン等に含まれる糖質をエネルギーに変えて全身に送る「糖質代謝」
2.肉・魚・大豆等に含まれるたんぱく質がアミノ酸に変わる「たんぱく質代謝」
3.脂質を中性脂肪・コレステロール・リン脂質に変える「脂質代謝」
これらの代謝機能が衰えると、肝機能の低下につながります。

2

解毒

有害物質から身体を守る

解毒とは、人体にとって有害な物質を分解して毒性を抜いて体外に排出する働きです。アルコールや薬をそのまま吸収すると毒性が強く、悪酔いや中毒症状、アレルギーを引き起こして、身体に悪い影響を与えます。また体内で有害物質に変わる物質もあります。肝臓で解毒することで、有害物質が体外に排出されて、全身の健康が保たれます。また腸内で人体にとって有害なアンモニアが発生し、血液中の含有量が増えると脳に悪い影響を与えます。これを解毒するのも肝臓の役割です。肝機能が低下すると分解能力が低下して、アレルギーや中毒症状など、様々なトラブルが現れます。

3

貯蔵

緊急時に備えて栄養素を蓄える

肝臓の役割の一つに、脳に必要なブドウ糖の供給があります。脳に絶え間なく供給するために、小腸から吸収されたブドウ糖は、肝臓内でグリコーゲンの形で蓄えられます。そしてブドウ糖不足に陥ると、それを使って脳に供給します。それが貯蔵の働きです。肝臓で貯蔵されるのは、三大栄養素といわれる、糖・脂質・たんぱく質です。食べすぎや暴飲暴食をすると、肝臓に中性脂肪が蓄えられて、太り過ぎや肥満につながります。また肝臓では血液の貯蔵もしています。出血時に蓄えた血液を使って血液不足を補います。

4

胆汁分泌

胆汁を分泌して消化吸収を促す

胆汁は肝臓から分泌される、弱アルカリ性の黄色い分泌液です。分泌量は1日に1ℓほどあり、胆嚢で濃縮されると茶色に変化します。その成分は、胆汁酸やコレステロール、ビリルビンなどで、脂肪の消化吸収に重要な役割を果たしています。胆汁は胆嚢に送られて、そこで一旦貯蔵されます。食物が十二指腸に届くと胆汁がそこに送られて、消化された老廃物と一緒に便となり、体外へ排せつされます。胆嚢や胆管で、胆汁の分泌が何らかの理由で固まってしまったものが胆石です。

5

尿素生成

アンモニアを尿素へ変換

肝臓では、アンモニアをオルニチン回路により尿素に作り変える「尿素生成」が行われています。尿素生成は、体にとって毒素であるアンモニアを解毒する上は欠かせない働きで、万が一肝機能の低下により尿素生成が滞ってしまえば、意識障害などを伴う肝性脳症を発症してしまいます。肝臓の尿素生成はいわば、肝臓の解毒作用と言えるのです。

肝性脳症(肝性昏睡)は黄疸,腹水・浮腫とともに肝不全の代表的な部分症であり,主な原因疾患には劇症肝炎,肝硬変,特発性門脈圧亢進症,先天性アミノ酸代謝異常症などがある.その発症メカニズムはアンモニアなどいわゆる脳症惹起因子を代謝・解毒する肝機能(機能的肝細胞量)が絶対的あるいは相対的に不足し,その結果,解毒されずに残った因子が中枢神経機能を抑制し,意識障害に至るものである.

出典:(PDF)『肝性脳症の治療体系』日本消化器病学会雑誌, 2007 [PDF]

(PDF) 「肝疾患とアンモニア代謝」日本消化機病學會雜誌, 1959[PDF]

オルニチン研究会ウェブサイト「肝臓の働き」(2018年2月27日確認)

6

コレステロール生成

アンモニアを尿素へ変換

肝臓の持つ機能の一つに、コレステロールを生成するという機能があります。

食事などから摂取された過剰なコレステロールは、肝臓を通り、胆汁内に胆汁酸として排泄されます。胆汁に排泄された胆汁酸は、食事を摂取した際に、胆汁と一緒に象徴に分泌されます。胆汁酸はほとんどが肝臓に再吸収されますが、不要な分は尿や便と一緒に体外に排出されます。

健康な人であれば、体内のコレステロールは肝臓でつくられる分と、食事などで小腸から吸収される分、そして体がエネルギーとして使う分、体外に排出される分の、それぞれ適正なバランスが保たれています。

コレステロールと聞くと、ないほうがいいと思う方もいるかもしれませんが、実は私たちの体が健康に働くためには必要不可欠な物質なのです。

肝臓は、このコレステロールを糖質・脂肪酸・アセチルCoAなどの物質を材料に生成します。1日あたりつくられるコレステロールの量は、肝臓と象徴でつくられる分をあわせると、体重50kgの方なら約600~650mgです。

肝機能が何らかの理由で低下し、コレステロールの生成能力が低下すると血清総コレステロール値は低下します。逆に、胆管が炎症や胆石などにより詰まると、胆汁からコレステロールを体外に排出する機能がうまく働かなくなり、血中総コレステロール値が高くなってしまいます。

健康長寿ネット「コレステロールの働きと1日の摂取量」(2018年2月27日確認)