


肝機能を効果的に改善するための食生活
肝臓は体内に蓄積した有害物質の解毒作用があり、負担がかかりやすい臓器です。食生活が乱れると、蓄えている物質を消費して、肝機能の低下につながります。食生活を見直すことが、効果的な改善につながります。
肝臓を元気にする食事の摂り方
日常生活において肝機能を改善するための代表的な方法が、食生活を見直すことです。肝臓に負担をかけず、肝機能を向上させるために注意すべきポイントを紹介します。
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食事内容が偏ると栄養バランスが崩れて肝臓に負担がかかります。食物繊維を多く含む野菜やキノコ、大豆製品を多めに取り、高タンパク質・高脂質・揚げ物等を控えめにして、栄養バランスの良い食事を摂りましょう。
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食事が不規則になると、肝臓に蓄えていたグリコーゲンを使ってエネルギーに変換します。肝臓に大きな負担がかかってしまうので、肝機能を改善するためにも、1日3食、しっかり食べることが大切です。
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肝機能が低下すると、大量にタンパク質が消費されて、体内での需要・供給のバランスが崩れます。良質なタンパク質、中でも大豆に含まれるサポニンは、肝臓を再生させて肝機能を高める作用があります。
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野菜は食物繊維が豊富で便秘の解消効果があります。便秘になると体内に毒素がたまり、それを解毒しようとして肝臓に負担がかかります。便秘が解消されると。肝臓への負担を軽くすることができます。
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油に含まれる脂質はエネルギー源となって、細胞やホルモンを作る重要な役割があります。肉と魚を交互に食べたり、ドレッシングや炒め物等に、植物性オイルを使うなど、バランスを考えて油を上手に摂りましょう。
肝機能に不可欠な「アミノ酸」
肝臓は良質なタンパク質からできています。これが不足すると、肝機能が低下し、良質なタンパク質を摂取すると、弱った肝臓が回復します。タンパク質はアミノ酸からなる成分です。アミノ酸には20種類あり、そのうち9種類を「必須アミノ酸」といいます。人体に不可欠な成分で、これを豊富に含むタンパク質が良質なタンパク質です。
必須アミノ酸は、体内で生成できないので、食事で補うしかありません。これらを多く含む食品には、大豆製品や魚介類、肉、卵、牛乳、チーズ等があります。ところが肉や卵等を食べすぎるとかえって肝臓に負担がかかります。そこでアミノ酸サプリメントを取り入れると、効率よくアミノ酸を摂取することができます。
肝機能の低下を防ぎ、健康な状態を保つためには、肝臓を守る食生活を意識することが大切です。良質なタンパク質の摂取はもちろん、摂り過ぎてはいけないものや、食事方法についても配慮する必要があります。
タンパク質を積極的に摂るうえで注意したいのが、脂肪分の摂り過ぎです。脂肪過多な食生活は、脂肪肝や肝機能の数値を上げる大きな原因となります。脂身の多い肉や揚げ物以外にも、背脂たっぷりのラーメンやカレーなどにも脂質が多く含まれているため、極力脂質の低い食事を心がけましょう。特に高カロリーな外食を選びがちな平日の昼食には、あっさりとしたメニュー選びを意識することがポイントです。
早食いの人は、脳が満腹を感じる前に大量の食事を摂ってしまうため、カロリー過多になりがちなうえ、肝臓をはじめとする内臓にも負担がかかりやすいです。1回の食事には20分以上かけ、ゆっくりとよく噛んで食べるようにしましょう。
寝る直前に食事を摂ると、胃の中に食物が入ったままの状態で眠ることになります。質の良い睡眠を取りにくいのはもちろん、内臓に負担をかける原因にもなるため、寝る3時間以上前には食事を済ませるようにしましょう。
アルコールの飲み過ぎは脂肪肝に繋がりやすく、アルコールを控えることで肝機能の数値に良い影響を与えることがわかっています。どうしてもお酒がやめられない場合、摂取量を減らすところから始めてみましょう。
肝臓を守る食生活においては、肝臓に良いといわれる食べ物を意識して選ぶことが大切です。肝臓に良い食べ物には、肝臓の機能を助ける成分を含むもののほか、肝臓に負担をかける物質の吸収をゆるやかにするものなどがあります。
お酒を飲むときには、タンパク質を一緒に摂るとアルコールから肝臓を保護するのに役立ちます。枝豆は良質なタンパク質を含み、脂質が少ないうえに脂肪を分解する役割のある成分を含んでいるため、晩酌のおつまみに最適です。
豆腐も枝豆と同様、脂質を抑えてタンパク質を摂れる優秀な食材といえます。湯豆腐や冷や奴、鍋の具材などアレンジレシピが豊富で、他の食材との相性も良く、タンパク質が効率的に吸収できるところも豆腐の魅力です。
肝臓に良い食材として、しじみは近年脚光を浴びています。六大栄養素がバランス良く含まれていることに加えて、肝機能を助けるタウリンや、アルコールの分解を促すオルニチンも豊富なことが特徴です。
お酒好きの味方としてその名を知られているウコンには、クルクミンと呼ばれる成分が含まれています。肝臓の持つ解毒作用を助ける働きがあり、脂質の分解にも役立つ食材です。ちなみにスパイスのターメリックは、ウコンの英名でもあります。
しじみ同様、タウリンが含まれている牡蠣。ビタミンやアミノ酸も豊富で、肝臓内の中性脂肪の排出を促す働きがあり、その栄養価の高さと乳白色の見た目から「海のミルク」とも呼ばれています。
ごまには、セサミンと呼ばれる抗酸化作用のある成分が含まれています。肝機能をサポートし、アルコールや有害物質の代謝を助ける作用を持つ、肝臓に嬉しい食材です。薬味として気軽に摂れるところも魅力でしょう。
大豆の発酵食品である納豆は、タンパク質の消化吸収が良いことに加えて、アルコールなどの肝臓に負担がかかる成分の吸収をゆるやかにする働きがあります。乳酸菌も豊富で、腸内環境を整える効果が期待できることも特長です。
健胃作用があることで知られるキャベツですが、胃だけでなく肝臓にもとても良い野菜です。キャベツに豊富に含まれているビタミンUは、肝臓内の脂肪を代謝するのを助けてくれる栄養素です。ラットを使った実験では、キャベツの乾燥粉末を投与すると、肝臓のコレステロール値が優位に低下したそうです。
滋養強壮効果の高い食材の一つでもあるニンニクは、料理に欠かせないスパイスですよね。ニンニクパワーは古い時代、エジプトのピラミッドの建設現場で働く人たちの間でも、利用されてきたと言われています。ニンニクの持つ抗酸化作用は、肝臓がアルコールを解毒する際に生み出される活性酸素を除去してくれます。また、にんにくに含まれているアリシンという成分は、肝臓の脂肪代謝を高めると言われています。
「毎日1つ梅干しを食べていれば医者いらず」と言われることもある梅干し。酸っぱさの元、クエン酸は肝臓の解毒作用をサポートしてくれます。梅干しは二日酔い防止にも効くと言われていますから、お酒を飲む日は、梅干しを食べるようにしてみてはいかがでしょうか?
たんぱく質やミネラル、ビタミンを豊富に含む牛乳は、肝臓の働きに欠かせない必須アミノ酸を全て含む飲み物です。また、ビタミンAやビタミンB2といった肝臓に良い栄養素も豊富です。朝ごはんやランチなどに、ぜひ牛乳を飲む習慣を取り入れてみましょう。
お酒のおつまみにも食べられることが多いナッツ。おつまみとして美味しいだけでなく、ナッツに含まれているビタミンEが、肝機能の向上を助けてくれます。ただし、ナッツは塩で味付けされているため、食べ過ぎは塩分過多になるため要注意。脂質も豊富な食材ですから、程々の量を心がけましょう。
肝臓に負担をかける食べ物や飲み物に注意することは、大切な肝臓を守るために大切です。アルコールは肝臓に良くない飲み物、ということを知っている方は多いかもしれませんが、実は他にも肝臓に大きな負担をかける食べ物は色々あります。
肝臓に負担をかける代表格といえば、お酒です。お酒の飲み過ぎが元で、脂肪肝や肝硬変などを引き起こしてしまう人も多いです。アルコールを肝臓で分解する際に作られるアセトアルデヒドには毒性があり、肝細胞にダメージを与えてしまいます。成人男性であれば、1日に適量とされるアルコールは日本酒1合程度です。
健康に良さそうな果物ですが、果物に含まれている果糖は肝臓でしか代謝できない成分です。つまり、果糖を取りすぎてしまえば、肝臓に負担がかかってしまいます。「甘い果物は、美味しくて健康にいい」というイメージは、どうやら肝臓には当てはまらないようです。
果物と同様に、果糖を多く含む清涼飲料水やジュースは肝臓への負担が大きい飲み物です。ペットボトルのジュースに含まれる果糖は、想像以上に多いもの。毎日ペットボトルのジュースを飲む習慣がある方は、お茶などに切り替えるようにしましょう。
砂糖たっぷりのお菓子は、当然ブドウ糖や果糖を多く含み、肝臓に負担をかけます。さらに、糖が体内で脂肪になり、肥満や脂肪肝を引き起こす原因になってしまいます。また、お菓子には糖質と合わせて脂質も多く含まれています。脂質は肝機能を低下させ、摂り過ぎれば体内に脂肪として蓄積されます。お菓子も程々を心がけましょう。
肝臓に貯蔵される鉄分は、身体に欠かせないミネラルです。しかしながら肝機能が低下している方の場合、鉄分が肝臓内で酸化し、活性酸素を発生させれば肝細胞が傷つけられてしまいます。特に肝硬変の方の場合、レバーや牡蠣、ほうれん草など鉄分を多く含む食材は、避けたほうがいいでしょう。
肝硬変が重症化すると、味覚が鈍ってしまい、濃い味付けのものを食べてしまいがちです。肝臓の病気により、塩分の量を調節する腎臓がうまく働かなくなってしまえば、体内で塩分過多の状態になってしまいます。肝臓をいたわるためにも、塩分控えめの食生活をおすすめします。アルコールを飲むと、つい塩辛いものが欲しくなってしまいますが、肝臓にはアルコールも塩分も大敵!ぜひ気をつけてください。
肝臓は、食事によって取り込まれた脂質を代謝してくれる臓器です。そのため摂取する脂質の量が増えれば、肝臓はオーバーワークになってしまいます。脂質の代謝が間に合わなくなれば、そのまま脂質は脂肪として体内に蓄積されます。脂肪肝や肥満の原因にもなりますから、ラーメンや揚げ物など、脂質の多い食事は控えましょう。
肝機能が弱っているときには、炭水化物・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラル・食物繊維の六大栄養素を意識して摂ることが欠かせません。特に豆・ごま・わかめ・野菜・魚・しいたけ(きのこ)・芋を、1日の食事のなかで積極的に摂取すると、六大栄養素をバランス良く補うことが可能です。
上記の食材の頭文字を取って「まごわやさしい」と覚えておくと良いでしょう。食材選びに迷ったら、まごわやさしいを思い出してください。