肝臓では、アンモニアをオルニチン回路により尿素に作り変える「尿素生成」が行われています。尿素生成は、体にとって毒素であるアンモニアを解毒する上は欠かせない働きで、万が一肝機能の低下により尿素生成が滞ってしまえば、意識障害などを伴う肝性脳症を発症してしまいます。肝臓の尿素生成はいわば、肝臓の解毒作用と言えるのです。
肝性脳症(肝性昏睡)は黄疸,腹水・浮腫とともに肝不全の代表的な部分症であり,主な原因疾患には劇症肝炎,肝硬変,特発性門脈圧亢進症,先天性アミノ酸代謝異常症などがある.その発症メカニズムはアンモニアなどいわゆる脳症惹起因子を代謝・解毒する肝機能(機能的肝細胞量)が絶対的あるいは相対的に不足し,その結果,解毒されずに残った因子が中枢神経機能を抑制し,意識障害に至るものである.
肝臓の持つ機能の一つに、コレステロールを生成するという機能があります。
食事などから摂取された過剰なコレステロールは、肝臓を通り、胆汁内に胆汁酸として排泄されます。胆汁に排泄された胆汁酸は、食事を摂取した際に、胆汁と一緒に象徴に分泌されます。胆汁酸はほとんどが肝臓に再吸収されますが、不要な分は尿や便と一緒に体外に排出されます。
健康な人であれば、体内のコレステロールは肝臓でつくられる分と、食事などで小腸から吸収される分、そして体がエネルギーとして使う分、体外に排出される分の、それぞれ適正なバランスが保たれています。
コレステロールと聞くと、ないほうがいいと思う方もいるかもしれませんが、実は私たちの体が健康に働くためには必要不可欠な物質なのです。
肝臓は、このコレステロールを糖質・脂肪酸・アセチルCoAなどの物質を材料に生成します。1日あたりつくられるコレステロールの量は、肝臓と象徴でつくられる分をあわせると、体重50kgの方なら約600~650mgです。
肝機能が何らかの理由で低下し、コレステロールの生成能力が低下すると血清総コレステロール値は低下します。逆に、胆管が炎症や胆石などにより詰まると、胆汁からコレステロールを体外に排出する機能がうまく働かなくなり、血中総コレステロール値が高くなってしまいます。