肝臓はなぜ沈黙の臓器と呼ばれるのか?

肝臓の仕組み
を解説

沈黙の臓器
呼ばれる理由

肝臓が沈黙の臓器と呼ばれる理由

肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、早期発見が難しい臓器です。では、なぜ沈黙の臓器と呼ばれているのでしょうか。主な症状とあわせてみていきましょう。

なぜ肝臓は沈黙の臓器と
呼ばれているのか?

肝硬変は慢性肝疾患の
終末像

肝機能が長期にわたって低下した状態が続くと、肝細胞が減少もしくは死滅して、線維化。肝臓が硬くなってしまいます。これを肝硬変と呼びますが、肝硬変になると肝臓は元に戻りません。肝硬変が肝疾患の終末像と言われるのは、元には戻せない状態だからです。

肝硬変の症状

肝硬変の初期段階では、まだ肝臓の残された機能が働いているため、自覚症状などが現れません。さらに肝硬変が進むと、肝性脳症・手の震え・腹部や下肢のむくみ・食欲不振・倦怠感や疲れやすさなどの症状が現れます。明らかに肝硬変の症状がある状態を「非代償性肝硬変」、症状がない肝硬変を「代償性肝硬変」と呼びます。[1]

[1]参考:『肝硬変診療ガイドライン2015(改訂第2版)』日本消化器病学会[PDF]
https://www.jsge.or.jp/files/uploads/kankohen2_re.pdf

肝硬変の所見

沈黙の臓器と言われる肝臓は、肝硬変であったとしても身体所見や症状だけでは肝硬変である診断できません。肝硬変の診断は、身体的所見や症状、血液検査などを組み合わせて行われます。肝硬変の身体所見としては、次のようなものがあります。[2]

ただし、こうした身体所見は、肝硬変初期では見られないことが多く、肝硬変を早期に発見するためには、身体所見はあまり参考になりません。

[2]参考:『肝硬変診療ガイドライン2015(改訂第2版)』日本消化器病学会[PDF]
https://www.jsge.or.jp/files/uploads/kankohen2_re.pdf

肝硬変の
画像診断

肝硬変がその程度進んでいるかを診断するには、エラストグラフィという画像診断が有効です。腹部超音波検査やCT、MRIなどの画像検査は、肝硬変の初期段階では診断が難しいと言われています。エラストグラフィは、簡単に言ってしまえば、超音波を使って肝臓などの組織の硬さを可視化する技術です。

慢性肝炎においては繊維化が進むと結節ができ、肝臓が硬くなっていき、肝硬変や肝癌へと進行していく。よって、肝繊維化ステージの診断は重要であるが、これまでの B モード像では肝繊維化ステージの診断が難しかった。しかし、 超音波エラストグラフィを用いることで、肝臓の硬さの値から肝繊維化ステージの診断が可能になってきている。

出典:『超音波エラストグラフィの原理』山川,バイオメカニズム学会誌,40(2),2016[PDF]
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sobim/40/2/40_73/_pdf/-char/ja

エラストグラフィの登場により、肝硬変がどの程度進んでいるかがわかる技術ですが、腹水があったり、肥満の方の場合は測定ができないというデメリットもあります。

肝臓の異変がわかる血液検査

画像検査も身体的所見や症状からも異変が察知できないとしたら、どうやって自分の肝臓が元気かどうかを確かめればいいのか…。と不安になった方もいるかもしれません。でも大丈夫。沈黙の臓器と呼ばれる肝臓の異変を早期に発見するためには、血液検査が有効です。肝硬変の進展度を予測するために、血液生化学的検査の所見をスコアリングして、判断するシステムやいろいろ考案されています。代表的な肝臓の状態をチェックするための血液検査項目には次のようなものがあります。

肝臓の異常に気づくきっかけ

肝臓がかかる病気には、脂肪肝や肝硬変などいくつかあります。一番多いのが「脂肪肝」です。発症しても痛みや違和感等がほとんどなく、発見が難しい病気です。進行させないためにも、定期健診や健康診断をきちんと受けることが大切です。脂肪肝が進行すると肝炎になり、さらに悪化すると慢性肝炎を引き起こします。だるさや発熱、食欲低下や吐き気等の症状が現れます。風邪と間違えやすく、個人では判断が難しいといえるでしょう。悪化させないためにも、定期的に健康診断を受けて、体調が優れない時は、早めに病院に行って診断を受けましょう。

沈黙の臓器を守るためにできること

飽食の時代といわれる現代。現代人の3人に1人が、肝臓に何らかのトラブルを抱えているといわれます。肝臓と生活習慣には密接な関係があります。下記の生活習慣のチェックリストに沿って、自己チェックしてみましょう。

当てはまる項目が多いほど肝機能が低下している可能性があります。生活習慣を見直して肝臓に優しい生活を目指しましょう。

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