むくみと肝機能の意外な関係とは?

Rational symptom

むくみ

むくみの原因とそこから考えられる病気
ここではむくみの症状や原因について説明しています。多くの年代の人が悩まされている「むくみ」。手や足、顔など一定の箇所に水分がたまってしまうことが原因ですが、実は肝機能障害やリンパ系疾患のシグナルかもしれません。「むくみ」でお悩みの方はチェックしてみましょう。

むくみの症状

細胞と細胞の間を満たす「間質液」という液体成分が一定の箇所で増加し、皮膚の上からでも膨らんだ状態がわかる症状が「むくみ」です。立ちっぱなしや座りっぱなしなど、長時間同じ姿勢でいることで起こりやすくなります。いくつか種類があり、腕・足の片側だけむくんだり両足がむくんだりすることも。朝方や夕方など時間によってむくみの度合いが変わることもあり、程度の判断が難しい症状です。

ほとんどの場合、数日で自然に治りますが、中には長期的にむくむこともあります。その場合は病気の疑いがあるので、クリニックへ行きましょう。まれに、ぽっちゃり体形だとむくみかどうかわからないこともあります。その場合、むくんでいる部分を10秒以上押してへこむかどうかを確認しましょう。押してへこむのがむくみ、元の形に戻れば脂肪です。

むくみの原因

むくみの原因は主に長時間同じ姿勢での仕事や、水分のとりすぎ・不足などです。毛細血管の内壁には無数の小さな孔(あな)があり、ここで血管内と外の水分量調整をしていますが、このバランスが何らかの原因で崩れ、水分が余分に排出されたり間質液としてたまったりするとむくみに変化。この場合は定期的に姿勢を変える、水分の量を調節するなどの対策をすることで症状が和らぎます。

ほかにも疾患、薬の副作用などが原因のむくみがあります。一番多いのは更年期障害によるむくみで、加齢によりホルモンバランスが崩れて自律神経が乱れることにより起こる症状です。ホルモン注射で治すことができるので、特に心配しなくてもいい症状だと考えられています。ほかにも肝硬変やリンパ浮腫、腎炎症候群といった病気が原因のむくみも。更年期の症状とは違い、放置すると健康に被害が出てくるため、早期の治療が必要です。

むくみことから考えられる病気

むくみの症状が出る病気は循環器系から泌尿器系まで多くありますが、黄疸や紅斑といった症状が出ている場合は肝硬変の可能性が高めです。肝硬変は肝臓の傷を修復するときに、まわりをたんぱく質が覆ってしまった状態。黄疸や腹水が起こり、塩分やアルコール、老廃物などの分解が難しくなります。

肝臓が硬くなり機能が落ちるので、食道静脈瘤や肝性脳症を併発する危険性が高くなっています。肝硬変を必ず治療できる薬剤は今のところ存在していません。しかし、ウイルス性や自己免疫性、アルコール性など肝硬変の種類によって肝機能を改善する方法があります。

ウイルス性であれば抗ウイルス薬やインターフェロン療法を行うことで肝機能を向上させることが可能。分岐鎖アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)が不足するので、それらを補充することでたんぱく質が補われ機能が改善するように。悪化すると治療も困難になってくるため、むくみの症状が出ていて不安な方は受診をおすすめします。

その他同じ症状が出る病気

最もむくみが出やすい病気は更年期障害ですが、ホルモン注射で簡単に改善できるため、あまり問題ありません。日常生活に影響しやすいのはリンパ浮腫や腎炎症候群といった病気です。

リンパ浮腫では手足のリンパ管が放射線照射や抗がん剤治療の影響で詰まってしまい、皮下組織にリンパ液がしみ出してむくみます。悪化すると次第に皮膚が硬くなり、象皮症になることも。静脈を動かしてリンパを活発化させることで改善します。

腎炎症候群は血液をろ過して尿をつくるはたらきをする腎臓の糸球体が細菌感染して炎症を起こし、腎臓の機能を低下させる病気。一過性の急性腎炎症候群と、徐々に発症・進行する慢性腎炎症候群に分けられます。むくみの他に高血圧や血尿が見られるのが特徴です。利尿剤を使用し、余分な水分を輩出することでむくみの改善を図ります。

どちらも生活習慣の改善だけでは治療が難しい病気のため、症状が見られたら医師に相談し検査を受けるようにしましょう。

症状が見られたときは?

むくみの症状が見られた場合、まずは姿勢を変えたり水分をとったりしてみましょう。一時的なものであれば、少し時間を置くことで改善できます。それでも治らないようであれば、病気の可能性が考えられるため、早めにクリニックへ行きましょう。むくみの症状が見られる病気は更年期障害に始まり、肝硬変やリンパ浮腫、腎炎症候群など。どれも症状が重くなってくると命にかかわる病気です。

更年期障害のむくみはホルモン注射で改善できるので、治療は容易。しかし、むくみ以外にもいろいろな症状が出るため、長く続けば日常生活に支障をきたしかねません。

肝硬変や腎炎症候群は明確な治療法がなく、抗ウイルス薬や利尿剤、アミノ酸の補充をすることで間接的に機能を向上させるしかありません。そのため、早期の発見と治療が大切になってきます。むくみが出やすい方は早めに医師へ相談しましょう。