GOTは「グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ」という酵素で、特に肝臓に多く含まれていますが、肝臓以外にも骨格筋などに多く含まれています。何らかの原因で肝臓の細胞が壊れると、血液中にこの酵素が流れ出てくる(逸脱酵素)ため、健康診断や人間ドック、病院などの医療機関での検査で検査をした際に、この数値が高いと肝機能に異常があるこということになります。
もうひとつ肝臓系の検査に利用されているALT(GPT)という、GOTとほとんど同じような働きをしている酵素がありますが、肝臓の具合が悪くなるとGOTとGPTの両方の値が上昇するため、肝機能に障害がないか、早めに精密検査を受診することが大切です。 なお、日本では長い期間GOTと呼ばれていましたが、近年では国際標準に合わせてASTと呼ばれています。
肝臓の細胞が壊れると多くの場合GOTとGPT両方の数値が上昇しますが、AST(GOT)の値だけが上昇するケースがあります。これはGPTは肝臓のみにあるのに対して、GOTは肝臓以外の臓器にもある酵素の為、AST(GOT)のみ数値の上昇が確認できた場合には、肝臓以外の部位、心筋梗塞、筋肉疾患などの病気が考えられます。
健康診断や人間ドックなどでAST(GOT)、ALT(GPT)両方の数値の上昇を指摘された場合には、現在の「状態」を振り返ってみましょう。
上記以外にもB型肝炎ウィルスやC型肝炎ウィルスに感染している場合、AST(GOT)、ALT(GPT)の数値が上昇することがありますので、上昇の原因を調べれるためにも検査を受ける必要がります。
GOTは肝臓がダメージを受けると肝細胞から血液内に溢れ出します。ダメージや病気の大きさにより値は高くなるため、数値に差が出るのが特徴です。血液中のGOT数値が上昇すると起こりうる病気と、その原因をチェックしましょう。
ウイルス性肝炎に感染したり、過度にアルコールを摂取したりすると発症します。
ほとんどC型肝炎ウイルスやB型肝炎ウイルスだと言われていますが、慢性肝炎と同じく、アルコールが原因で発症することもまれにあるそうです。
慢性肝炎や肝硬変といった肝臓の疾患によって起こる可能性があります。その他肝炎ウイルスやアルコール摂取、喫煙などが原因となることも。
肝炎ウイルスの感染やアルコール、薬物などが原因です。
GOT数値を上げていると考えられる1番の原因はアルコールです。もしアルコールを飲まないのに、肝臓の数値が高かった場合は、「非アルコール性脂肪肝」の疑いがあります。いわゆる「肝臓の肥満」です。脂肪肝になると、肝臓が通常通り機能せず、動脈硬化や肝硬変などの生活習慣病にかかってしまいます。また、疲労やストレスから一時的にGOTの数値が上がる場合も。高値になる前に、自分にあった改善法を見つけましょう。
また、筋肉を使う激しい運動をすることも、GOTが高くなる原因。筋肉を酷使することで組織が破壊され、GOTが高くなってしまうのです。
ほかにも、採血後に数値が上がることがあります。GOTが免疫ブロブリンにくっつき、血液中から消える速度が遅くなるのが原因です。検査をする際には、GOTが消えるものとして調べます。その速度が遅いと、数値が高く出てしまうのです。また、採血や検査時に、試験管の中の赤血球が壊れてしまうことがあります。この場合、赤血球の中のGOTが流れ出し、数値が高くなることも。このような理由で数値が高く出ても、健康状態には関係ないので問題ありません。
しかし、まれに病気の可能性もあるので注意が必要です。肝臓の細胞が障害を受けると、GOTの数値が上昇します。これは、肝臓病のリスクも高まるということです。GOTは肝細胞だけでなく、心臓の筋肉や骨格筋の細胞にも多く存在します。数値が高くなるということは、心筋梗塞や筋ジストロフィーなど筋肉の病気の可能性があるかもしれません。
ASTの基準値は30 IU/L以下。正常な数値に戻すために、今日からできる方法を紹介します。
肝臓の働きは必要な栄養素を取り入れ、有害な物質や老廃物を無毒化すること。栄養バランスを考えず、偏った食生活をしていると肝臓に負担がかかり、GOTの値が上がってしまいます。どんなに忙しくても、栄養のバランスを考えた食事を意識的に摂りましょう。
1日に溜まった肝機能の疲れは、睡眠時に回復します。肝臓は、ただでさえ多くのエネルギーを消費している臓器。ずっと起きて働かせたままだと回復しません。「睡眠時間が足りない」「いつも寝不足」という人は睡眠時間を見直しましょう。
肝臓にも大きな負担がかかります。「脂肪肝」という病気になってしまうこともあるため、体を動かして脂肪を消費するのが大切です。ただし、GOTは肝機能だけでなく、筋肉にも含まれているため、過度な運動を無理に続けると値を上がる可能性も。適度な運動量がベストでしょう。
そのほか、ストレスを溜めない、アルコールの摂取を控えることも大切です。
しじみや牡蠣は肝機能を改善するために効果的といわれていますが、ほかにはレバーもおすすめです。レバーに含まれるビタミンB2は、脂質の分解をサポートし、脂肪肝や肥満の予防に役立ちます。エネルギーを作り出す働きにも一役買っている栄養素です。葉酸も積極的に摂りたい栄養素のひとつ。肝臓の細胞再生をサポートしてくれます。
オメガ3脂肪酸(DHA、EPA、αリノレン酸)は、肝臓に良いといわれている栄養素です。コレステロールや中性脂肪の数値を下げる働きが期待できます。さらに、脂肪肝、動脈硬化、心筋梗塞、高血圧、脂質異常症、加齢黄斑変性といった病気の予防にも役立つ栄養素なのです。オメガ3脂肪酸を摂取したのちに運動をすることで、脂肪燃焼の速度が早まるといわれています。ダイエット中の方にもおすすめです。
このような栄養素を含んだ食事をすることが、肝機能の改善に役立ちます。食事だけでは不足しがちな栄養素は、健康食品やサプリメントを利用するのが良いでしょう。
AST(GOT)を改善するための効果的な運動として、有酸素運動が挙げられます。有酸素運動とはジョギングやウォーキング、ヨガなどです。息の切れるような激しい運動をする必要はなく、簡単な運動を毎日継続して行うことが大切です。
冬など外に出るのが億劫な時期の運動には、室内でできるヨガやストレッチなどの有酸素運動がおすすめです。こちらも激しくやるのではなく、ゆっくりとじんわり汗をかくぐらいがベストです。
逆に肝臓に負担をかけてしまう無酸素運動は避けましょう。短距離走や腕立て伏せ、腹筋などの息を止める運動が無酸素運動になります。無酸素運動を行うことで乳酸が多く生成されます。乳酸は肝臓でのみ処理される物質のため、元気のない肝臓に追い打ちをかけてしまうことになります。
基準値ギリギリだったので生活習慣を見直します
肝臓が悪いとGOTやGPT、γ-GTPが高い値になると聞いていたので、検査を受けるときは不安でした。異常がないことを祈りながら検査を受けましたね。結果、GOTとγ-GTPが30 U/L以下、GPTは30U/L。極端に悪い方ではないとお聞きしたのですが、食事を見直したり、お酒を控えたりして、これ以上値が上がらないように気をつけています。次の検査でも異常値だと判断されないように、生活を見直していきたいです。
会社で情報を集めています
会社の人達と健康診断について話をするのが恒例になっています。私を含め肝臓が心配だという人が多いので、GOTやγ-GTPの話もたびたび出ました。GOTに関しては40代後半から異常値になる人が増えるそうです。例外で、アルコールを多量に摂る人は年齢に関わらず高い値になることが多いと聞いたので、気を付けようと思いました。
食事とアルコールで友人に協力
私の友人は血液検査でGOTの数値が高いと言われていました。基準値の30U/Lを超えていたそうです。私はGOTについて詳しくありませんでした。調べてみたところ、「肝臓に疾患がある場合に値は上昇し、急性肝炎や肝硬変、肝がんといった病気の恐れがある」と知り、びっくり!食生活を改善したり、アルコールの摂取を控えたりすると数値を下げられるそうなので、友人を基準値に戻せるよう、私も協力したいと思います。