発熱とは脳の中の視床下部と呼ばれる部分にある体温調節中枢が何らかの原因で異常を起こし、体温が正常より高くなった状態です。
原因としては、インフルエンザや肝炎ウイルスといったウイルスや細菌の感染が挙げられます。病原体が体内に侵入すると白血球やマクロファージなどの免疫細胞が敵と認識し攻撃。免疫細胞の動きが活発になるため炎症が起こり、視床下部が体温を上げる命令を出すので発熱します。感染症や自己免疫疾患(自分自身の細胞を敵とみなして攻撃してしまう免疫系の病気)では発熱が起こりますが、これに加えて脳に障害を受けた場合に発熱がみられることも。その際に体温を調整している視床下部が損傷を受けると、高熱が続く状態になります。
発熱と聞くと一般的に考えられるのは風邪ですが、実は内臓の炎症や病気でも発熱します。内臓の機能障害として主に発熱の症状が出るのは肝炎。ウイルス性肝炎や自己免疫性肝炎などいろいろありますが、初期は共通して発熱や倦怠感といった風邪のような症状が見られます。
そのため、風邪と診断されがち。微熱やむくみ、倦怠感が数日続いた後は目の白い部分(結膜)がだんだんと黄色くなってきて黄疸が起こります。肝炎が悪化し始めているサインなので、黄疸が見られた場合はすぐ病院へ行きましょう。
最初に微熱が数日続くといった場合が多いので、「体温が高い」「体がだるい」などの症状が3日以上続くようなら病院へ行くようにしてください。
発熱が起こる病気で最も有名なのがインフルエンザ。ヒトに感染しやすく体内で爆発的に増えるのが特徴です。高熱や激しい寒気、倦怠感におそわれるため、数日寝込むことが多いようです。
最近では寒気や頭痛などが見られず、微熱が続くインフルエンザも発症しているので注意が必要。数年に一度は新しい型のインフルエンザが出て大流行するため、乾燥する時期はマスクを欠かさないほうがいいでしょう。
他に発熱が伴う病気として、脳炎や急性髄膜炎が考えられます。脳炎は免疫の過剰反応やウイルスの直接感染で起こりますが、発熱やけいれん、麻痺などの症状が出ます。前駆症状として腹痛やせき、のどの痛みがあるので、併発する場合は要注意です。蚊が媒介するため、外では虫よけをして蚊のいないところで過ごすのがおすすめ。髄膜炎は脳と脊髄を覆う膜が感染症にかかった状態で、発熱・頭痛・うなじが硬くなるといった症状があります。ウイルスが原因であれば比較的早めに治りますが、細菌が原因だと重症化しやすく、吐き気や麻痺、意識障害が出てくるように。
どれも重症化すると命にかかわる重大な病気です。ウイルスや細菌が原因のため、手洗いうがいをこまめにしたりワクチンを打ったりするなどの対策をしておきましょう。
発熱が見られる場合、まずは他の症状が出ていないか確認するのが重要です。併発している症状によっては命の危険にかかわるため、すぐに近くの病院に行きましょう。早めに治療を受ければ手遅れにならずに済みます。
発熱以外に寒気、頭痛などが見られない場合、内臓の炎症が原因かもしれません。倦怠感やむくみの有無を確認し、クリニックで検査してもらいましょう。もし肝炎や他の内臓系疾患であれば、早めに病気がわかることで食事療法や安静にするといった対策がとれます。治療期間も短く治りやすい時期に治すことが可能。
激しい寒気、けいれんなどを伴う発熱であれば、インフルエンザや脳炎などの感染症の可能性があります。重度の感染症は放置しているとそのまま亡くなってしまうため、気づいたらすぐ病院へ向かうのがベスト。特に脳炎、髄膜炎は後遺症が残りやすいので早めの処置が必要になります。
かかってからの対処も大切ですが、かからないよう日常的に気を付けることが大切。「気づいたら症状が出ていた」ではなく、不調にすぐ気づけるよう定期的な検診を受けておきましょう。