肝機能の低下が肥満・高血圧・糖尿病を招く
メタボリックシンドロームは、肝機能の低下が引き起こす症状の一つ。動脈硬化を促進し、様々な病気を引き起こします。原因、予防・改善方法など、メタボリック症候群についてみていきましょう。
40歳以上でメタボのリスクが高くなる
メタボリックシンドロームは、内臓に脂肪がたまり、生活習慣が現れる症状です。脂質異常症(高脂血症)・高血糖・高血圧の3つのうち、2つ以上に当てはまれば、メタボと診断されます。動脈硬化を促進させて、糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞など、命に係わる生活習慣病の引き金になります。40~74歳の男性2人に1人、女性5人に1人が予備軍といわれ、また胃がんにかかるリスクも高まるという報告もあります。
運動不足になると、エネルギーが消費できなくなり、脂肪として蓄えられて、肥満になります。
メタボリックシンドロームと診断される基準には、一定以上の腹囲があることが内臓脂肪の指標となっています。基準値となる腹囲は下記の通りです。
上記の必須項目に加え、次の基準が2つ以上当てはまると、メタボリックシンドロームと診断されます。
このように、ただ肥満というだけでメタボリックシンドロームとは言えません。しかし肥満の方は、メタボリックシンドロームになりやすい生活習慣を送っている可能性もあるため注意が必要です。
メタボリックシンドロームの原因となりやすい肥満度を測る目安としては、BMIを利用するのが一般的です。BMIとは世界的な体重の計算方式で、BMI=体重(kg)÷身長(m)の2乗のように求めます。
数値の見方は下記の通りです。
例)身長160cmで体重が60kgの場合:60kg÷(1.6m×1.6m)=23.5(標準)
ウェストのサイズが男性85cm、女性90cm以上の肥満になると、メタボリックシンドロームと診断されます。肥満には、皮下脂肪型と内臓脂肪型の2つのタイプがあり、内臓に脂肪が溜まる「内臓脂肪型」の方が、より深刻な肥満です。皮下脂肪の脂肪細胞から分泌される物質の中には、動脈硬化を抑制したり、インスリン抵抗性を抑えるものがあります。一方の内臓脂肪の脂肪細胞からは、高脂血症・糖尿病を誘発する物質を分泌して、動脈硬化が進みます。
動脈硬化になると、血管の内側にプラークがたまります。血管が細くなると血流が悪くなり、全身に十分な酸素や栄養がいきわたらなくなります。また血管が詰まると、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞など、命に係わる病気を引き起こすリスクが高くなります。
内臓脂肪が増えると、血糖や血中の脂質、血圧などが上昇します。これらは血管や臓器にダメージを与える原因となるため、さまざまな生活習慣病にかかりやすくなるのです。内臓脂肪を原因としやすい代表的な生活習慣病は下記になります。
メタボ状態を放置していると、病気のリスクは高まります。肥満症では、標準体型の人に比べて高血圧となる危険性が2.9倍にもなるのです。また肥満に加えて高血圧や高血糖、高中性脂肪血症など3~4つの症状に該当する人は、該当しない人に比べて心筋梗塞・狭心症の発症率が36倍というデータもあります。
日本人のメタボの割合は40代を越えたあたりから次第に高まり、60代男性のおよそ2割以上がメタボであるという研究結果からもわかる通り、決して他人事ではないのです。
一般的な肥満は腹囲が大きいだけでなく、全体的な見た目も太って見えます。しかし、内臓脂肪に関しては一概にそうとも言い切れません。体重がBMIの標準値以内で、見た目に痩せている人であっても、内臓脂肪が多いこともあるのです。
暴飲暴食が続いていたり、血液検査の数値が思わしくなかったりする人は、たとえ肥満でなくても生活習慣を見直してみてください。また定期的に検診を受けるなどして、体調管理に注意する必要があるでしょう。
メタボリックシンドロームの予防・改善で大切なことは、内臓脂肪を減らすこと。落としにくいと思われがちですが、生活習慣を見直すことでコントロールは可能です。具体的には次のような方法があります。
高カロリー・高脂質、濃い味付けの食事や食べすぎは、エネルギーを消費しきれません。緑黄色野菜や青魚類、豆腐類を積極的摂り、塩分を控えめに。バランスの取れたメニューと規則正しい食事、腹八分目を心がけて。
積極的に運動をすると、基礎代謝が上がって内臓脂肪も燃焼します。早歩きや散歩なども有酸素運動を、1回20分以上、毎日続けると効果的です。
タバコには動脈硬化を促す有害物質が含まれています。心臓病リスクが高まるので禁煙は重要です。
アルコールを飲みすぎると肝臓に負担がかかります。適量を心がけ、週に1日は休肝日を設けましょう。肝心なことは、日頃の食事や運動に気をつけて、メタボリック症候群を予防することといえます。