肝臓の仕組み
を解説
肝臓で行われる代謝の働きと全身の健康
肝臓の働きの一つに代謝があります。代謝によって私たちの身体の健康が保たれていますが、どのような働きがあるのでしょうか。代謝の仕組みや働きについてまとめています。
代謝とは、食物等から摂取したエネルギーを、体内で消費する活動のこと。食べたものの一部を代謝により体外に排出し、残りを脂肪などに変えて体内に蓄積します。代謝が悪くなると脂肪が体内に蓄積されて、肝機能の低下につながります。
肝臓は私達の生命を維持するために、沢山の役割を担っています。その一つが代謝です。食物から摂取した栄養素を代謝してエネルギーに加工して全身に送り、余った分を肝臓に貯蔵して、いざという時にはそれを分解してエネルギーに変換します。代謝機能には、糖質代謝・たんぱく質代謝・脂質代謝があり、これらの働きで健康が保たれます。
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糖質をブドウ糖に変換して供給
糖質代謝には、栄養素を代謝してエネルギー源として全身に供給する働きがあります。ご飯やパン、果物類に含まれている糖質がブドウ糖に分解されると、小腸で吸収されて、門脈から肝臓へと送られます。ブドウ糖は、肝臓でグリコーゲンに変換されるとそこに蓄えられます。必要に応じてグリコーゲンから再びブドウ糖に変わって血液中に流れ出て、血液とともに全身に送られます。このようにして、肝臓がブドウ糖をコントロールすることで、血液中の血糖値のバランスが保たれています。ところが肝臓が弱ったり、肝機能障害になると、グリコーゲンの生産が阻害されてブドウ糖のコントロールが効かなくなり、血液中のブドウ糖濃度があがって糖尿病になります。
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アミノ酸をたんぱく質に変換する
たんぱく質代謝は、アミノ酸をたんぱく質に変える作用があります。体内には2000種類以上の酵素があり、肉や魚、大豆などのたんぱく質を摂取すると、消化酵素の働きで、たんぱく質が分解されてアミノ酸に変わります。それが肝臓に送られると、必要量だけたんぱく質に合成されます。このたんぱく質は血漿(けっしょう)たんぱく質といわれる「血液凝固」に関わる重要な成分です。これが不足すると、血液が固まりにくくなります。肝機能が低下すると、血漿たんぱく質の合成ができなくなるので、出血しやすくなったり、血が出ると止まりにくくなります。なお、使われずに残ったアミノ酸は分解されて膀胱に送られて、尿とともに排出されます。
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脂質をコレステロールに変換する
脂質代謝は、脂質からコレステロールに変える代謝です。食物に含まれている脂質は、たんぱく質よりも大きなエネルギー源になり、脂溶性ビタミンを摂取にも関わる大切な働きがあります。摂取すると胆汁と膵臓から分泌される酵素によって2つに分解されます。グリセロールと遊離脂肪酸です。それが小腸に吸収された後、中性脂肪に変わり、それが肝臓に送られます。肝臓では中性脂肪を次々と分解してエネルギーに変えていきます。ところが暴飲暴食や食べすぎで脂肪を取り過ぎると、中性脂肪が肝臓の分解能力を上回ってしまいます。分解しきれずに余った中性脂肪は、すべて肝臓に蓄えられてしまうため、それが蓄積すると脂肪肝のリスクが高くなります。
糖質代謝やたんぱく質代謝、脂質代謝など様々な代謝機能を担う肝臓。代謝を上げることで、脂肪の蓄積をおさえ、肥満予防や肝機能低下予防などをはかることができます。
実際に、代謝を上げるためにできることをご紹介します。
肝臓をいたわり、肝機能を高める食事は、「高タンパク」「適正カロリー」「油脂や糖分を摂りすぎない」「高ビタミン」であることを意識するといいでしょう。
肝臓の代謝機能を高めるためには、何よりも肝臓が元気でないと意味がありません。
魚や肉だけでなく、大豆など植物性の良質なタンパク質は、ダメージを受けた肝臓を修復するのに欠かせません。また、肝臓に疾患があると、ビタミンA、C、Eなどの血液中の量が減少します。ビタミンは、身体の細胞の働きを良くしてくれる栄養素です。肝機能が低下している方は、特に代謝を高めるためにも、ビタミンを意識して摂取するようにしましょう。特に、肝機能が低下していると病院などから指摘された方は、ビタミンA、C、E、B1、B12などを意識して摂るといいでしょう。[1]
また、肝臓で脂肪の代謝を高める栄養素としてオススメなのが、レシチンという成分を構成しているコリンです。レシチンは、細胞膜を作る大切な物質で、コリンをたくさん摂り、レシチンを活性化すれば、結果肝臓の細胞も活性化します。レシチンが活性化した状態の肝臓は、肝臓の脂肪代謝が高まります。また、コリンは肝臓における脂質代謝に欠かせない成分ですから、脂肪肝予防に意識して摂るようにしましょう。コリンは、えんどう豆やグリーンピースに多く含まれています。茹でたりスープに入れたりすれば、無理なくたくさん食べられます。
コリンの生理作用は、(1)生体膜の構成成分として,幕を介するシグナル伝達の機能,(2)脂質の運搬に必須の界面活性剤としての機能,(3)コリン作動性ニューロンにおける神経伝達物質としての機能〜中略〜などが知られている.
〜中略〜』
人においては、食事性のコリンにより肝臓の硬変を止めることができるし,位防寒を治すこともできる.
出典:(PDF)『(1)コリン発見の歴史と生理作用(バイオファクター研究のブレークスルー : 「コリン」』ビタミン,75(8),2001 [PDF]
また、過ぎたアルコール摂取は肝臓の分解能力を超えてしまい、肝臓が正常に働かなくなってしまいます。肝臓の代謝を高めるという意味でも、休肝日を設け、1日に飲むお酒の量は適量を心がけましょう。
また、ストレッチも肝臓の代謝を高める上では有効です。肝臓の周りの筋肉や組織に働きかけるストレッチは、肝臓の血行をよくし、代謝を高めてくれます。
肝臓の代謝を高めるストレッチでオススメのストレッチを以下にご紹介します。