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Rational symptom

発熱

発熱は肝機能低下の兆候?発症する原因とは

このページでは肝機能障害の自覚症状として起こる発熱について紹介しています。起こる原因や特徴、症状のほか、発熱から考えられる病気についてまとめているので、チェックしてくださいね。

発熱の原因

発熱とは脳の中の視床下部と呼ばれる部分にある体温調節中枢が何らかの原因で異常を起こし、体温が正常より高くなった状態です。

原因としては、インフルエンザや肝炎ウイルスといったウイルスや細菌の感染が挙げられます。病原体が体内に侵入すると白血球やマクロファージなどの免疫細胞が敵と認識し攻撃。免疫細胞の動きが活発になるため炎症が起こり、視床下部が体温を上げる命令を出すので発熱します。感染症や自己免疫疾患(自分自身の細胞を敵とみなして攻撃してしまう免疫系の病気)では発熱が起こりますが、これに加えて脳に障害を受けた場合に発熱がみられることも。その際に体温を調整している視床下部が損傷を受けると、高熱が続く状態になります。

発熱から考えられる病気

急性肝炎

肝炎ウイルスが原因で肝機能障害が引き起こされる急性肝炎。黄疸や吐き気、食欲不振などの症状に加えて、発熱症状もみられます。
主に、急性肝炎で見られる症状は次の通りです。

  • 発熱
  • のどの痛み、頭痛
  • 黄疸、尿が茶色くなる
  • 食欲不振
  • 全身倦怠感
  • 吐き気や嘔吐
  • 腹痛
  • 関節炎
  • 発疹

肝炎ウイルスに感染してから症状が出はじめるまでの期間はおよそ3〜8週間。B型肝炎、C型肝炎ウイルスの場合には6ヶ月ほどの潜伏期を経て症状が出る場合もあります。

発熱も、頭痛やのどの痛みなどを伴うことがあるため、風邪と間違えやすいことも特徴の一つです。発熱は、急性肝炎の前駆症状として現れますので、風邪かな?と思ってもなかなか熱が引かない場合や、黄疸が見られる場合、尿が烏龍茶のように茶色い色になっている場合には急性肝炎を疑いましょう。

急性肝炎は、幹細胞内にあるALT(GPT)やAST(GOT)酵素の値の上昇や、ビルビリン値の上昇が見られます。原因ウイルスの特定には血液検査が行われます。

急性肝炎は、劇症化すると肝臓の解毒機能が低下して、せん妄や意識障害などの脳機能障害が引き起こされます。劇症化すると命の危険もありますので、たかが発熱と侮らずに、きちんと病院で診察してもらいましょう。

参考- 国立国際医療研究センター 肝炎情報センターHP『急性肝炎』2018年1月24日確認

http://www.kanen.ncgm.go.jp/cont/010/kyuusei.html

肝硬変

ウイルス感染やお酒の飲み過ぎ、脂肪線肝炎などで肝臓に傷がついたときに、肝臓を修復するために出現する、線維と呼ばれるたんぱく質が増加。肝臓全体が岩のように硬くなった状態を肝硬変と言います。肝硬変の原因はいろいろありますが、肝炎ウイルスが原因の場合には、肝炎の症状として発熱がみられることがあります。
肝硬変は肝機能の低下だけでなく、がんや食道・胃静脈瘤、肝性脳症などの強い合併症を引き起こすことも。

肝硬変は、慢性肝炎の状態が続き、幹細胞に徐々に線維が増えていった結果ですから、肝炎を原因とする発熱症状が見られた場合には、速やかに治療をすることが、肝硬変予防には大切です。

また、肝硬変はこの後にご紹介する肝臓がんを生じさせるリスクも高めてしまいます。肝硬変になると年間8パーセント程度の確率で肝臓がんになると言われていますから、決してそのままにせず、治療を受けましょう。

肝硬変は長い年月、肝臓に炎症が続いた結果生じた変化ですので、その間に肝臓の中では細胞の遺伝子などに傷がついていきます。その結果、肝硬変のように長期に傷ついた肝臓になると、肝癌が生じる危険性が高くなります。肝硬変の原因の中でも、HCV感染によるものでは、肝硬変になると年率8%くらいの確率で癌ができることがわかっています。この数字は、肝硬変になって10年経つと80%の人に肝癌が出てくるという理解になります。

出典:『患者さんと家族のための肝硬変ガイドブック』日本消化器病学会,2010

また、肝硬変の治療を開始した後も、治療法によっては発熱を伴う場合があります。
例えば、血小板が減少してしまう肝硬変のインターフェロン療法を行う前に、血小板数を増やす治療として用いられる「部分的脾動脈塞栓術」という治療では、脾動脈の血流を意図的に遮断して、脾臓の一部を壊死させることで脾臓機能を低下させる治療方法です。部分的脾動脈塞栓術は、脾臓の組織が壊死するため、発熱や感染症を合併症に生じることがあります。

また、肝移植を受けた場合も、拒絶反応で発熱や下痢、全身倦怠感などが起こる場合もあります。

参考- 『患者さんと家族のための肝硬変ガイドブック』日本消化器病学会,2010

https://www.jsge.or.jp/files/uploads/04_kankouhen.pdf

参考- 国立国際医療研究センター 肝炎情報センターHP『肝硬変』2018年1月24日確認

href="http://www.kanen.ncgm.go.jp/cont/010/kankouhen.html

肝臓がん

沈黙の臓器と呼ばれる肝臓のがんは、初期段階では自覚症状がほとんど無いがんと言われています。そのため、発見時にはがんが進行しているケースも多く、注意が必要です。

万が一、肝臓がんのがんが破裂すると、腹部に激痛を生じ、血圧が低下します。また、肝硬変に伴って発熱や黄疸、便秘や下痢、貧血なども生じます。
発熱のみでは肝臓がんと判断することは難しく、がんの診断には超音波やCTによる画像診断、腫瘍マーカー検査が用いられます。

肝臓がんの治療をスタートした後も、手術後の合併症や抗がん剤による副作用により発熱することがあります。

肝臓がんは、その多くが肝炎ウイルスへの感染や、慢性肝炎、肝硬変などに起因します。日本の肝臓がん患者の60パーセントほどは、Cがた肝炎ウイルスの持続感染によるものと言われています。
慢性肝炎や肝硬変の方は、肝臓がんのリスクが高いと言えますので、ガンにならないためにも肝硬変や肝炎予防・早期治療が必要です。

参考- 『肝細胞癌 受診から診断、治療、経過観察への流れ』

国立がん研究センター,がん情報サービス

https://ganjoho.jp/data/public/qa_links/brochure/odjrh3000000uj16-att/104.pdf

上記のように、発熱と聞くと一般的に考えられるのは風邪ですが、実は内臓の炎症や病気でも発熱します。内臓の機能障害として主に発熱の症状が出るのは肝炎。ウイルス性肝炎や自己免疫性肝炎などいろいろありますが、初期は共通して発熱や倦怠感といった風邪のような症状が見られます。そのため、風邪と診断されがち。微熱やむくみ、倦怠感が数日続いた後は目の白い部分(結膜)がだんだんと黄色くなってきて黄疸が起こります。肝炎が悪化し始めているサインなので、黄疸が見られた場合はすぐ病院へ行きましょう。

最初に微熱が数日続くといった場合が多いので、「体温が高い」「体がだるい」などの症状が3日以上続くようなら病院へ行くようにしてください。

その他同じ症状が出る病気

発熱が起こる病気で最も有名なのがインフルエンザ。ヒトに感染しやすく体内で爆発的に増えるのが特徴です。高熱や激しい寒気、倦怠感におそわれるため、数日寝込むことが多いようです。最近では寒気や頭痛などが見られず、微熱が続くインフルエンザも発症しているので注意が必要。数年に一度は新しい型のインフルエンザが出て大流行するため、乾燥する時期はマスクを欠かさないほうがいいでしょう。

他に発熱が伴う病気として、脳炎や急性髄膜炎が考えられます。脳炎は免疫の過剰反応やウイルスの直接感染で起こりますが、発熱やけいれん、麻痺などの症状が出ます。前駆症状として腹痛やせき、のどの痛みがあるので、併発する場合は要注意です。蚊が媒介するため、外では虫よけをして蚊のいないところで過ごすのがおすすめ。髄膜炎は脳と脊髄を覆う膜が感染症にかかった状態で、発熱・頭痛・うなじが硬くなるといった症状があります。ウイルスが原因であれば比較的早めに治りますが、細菌が原因だと重症化しやすく、吐き気や麻痺、意識障害が出てくるように。

どれも重症化すると命にかかわる重大な病気です。ウイルスや細菌が原因のため、手洗いうがいをこまめにしたりワクチンを打ったりするなどの対策をしておきましょう。

症状が見られたときは?

発熱が見られる場合、まずは他の症状が出ていないか確認するのが重要です。併発している症状によっては命の危険にかかわるため、すぐに近くの病院に行きましょう。早めに治療を受ければ手遅れにならずに済みます。

発熱以外に寒気、頭痛などが見られない場合、内臓の炎症が原因かもしれません。倦怠感やむくみの有無を確認し、クリニックで検査してもらいましょう。もし肝炎や他の内臓系疾患であれば、早めに病気がわかることで食事療法や安静にするといった対策がとれます。治療期間も短く治りやすい時期に治すことが可能。

激しい寒気、けいれんなどを伴う発熱であれば、インフルエンザや脳炎などの感染症の可能性があります。重度の感染症は放置しているとそのまま亡くなってしまうため、気づいたらすぐ病院へ向かうのがベスト。特に脳炎、髄膜炎は後遺症が残りやすいので早めの処置が必要になります。

かかってからの対処も大切ですが、かからないよう日常的に気を付けることが大切。「気づいたら症状が出ていた」ではなく、不調にすぐ気づけるよう定期的な検診を受けておきましょう。